杉山先生との2年間
JLT8期生 深澤 香
今年の7月の終わり、私の一時帰国の時期とタイミングがあった同期と一緒に秋田旅行を兼ね、一年ぶりに母校訪問する予定だった。「久しぶりに院の先生方に会えるね」と連絡を取り合っていた矢先の訃報に驚きを隠せなかった。AIUで杉山先生が指導して下さった最後の期が私たち8期になるとは夢にも思っていなかった。8期は社会人経験のある3人だけ、春の海外実習も行き先は3人バラバラ、ということもあってか、2年次の冬実習と春実習は「ソロ活動」となり、教員と実習生がペアを組み、マンツーマンで指導が受けられた。杉山先生は私の直接の指導教官ではなかったため、授業として教わったのは1年次のSLAと中上級のクラス、そして2年次の秋実習ということになる。授業を通して杉山先生から学んだことは数知れず、授業外でも気さくにいろいろと相談にのってくださった。
中でも特に印象に残っているのは、なぜか冬実習の打ち上げのときの話である。たまたま杉山先生と同じテーブルについていた私は、どういう流れでそういう話になったのかよく覚えていないが、こんな話をうかがった。「(テニスのラリーにたとえるなら、)相手が打ち返しやすいようなボールを打つコーチは、コーチが動くから疲れる。でも、相手をもう一歩動かして打たせるようなボールを打つコーチだと…?」(ヴィゴツキーの話だったかな?)
ちなみに今の私はその「もう一歩」が目の前の学生にとって果たして適切なのかどうか、自問自答する日々である。今夏新たな挑戦のため、推薦状を受け取りに行った先に杉山先生のお姿はなかった。明るいオフィスはまだそのままで、信じられない気持ちでいっぱいになった。そのうちまたどこからか笑いながら戻ってこられそうな気さえした。本を2冊選んで持っていっていいよと言われ、杉山先生といえば…SLA?フィードバック?アクションリサーチ?いや、個人的には評価も気になるし…と、迷いに迷って時間がかかってしまった。
秋田旅行から実家に戻った私は、その新たな挑戦のため事前課題に取りかかった。中上級のクラスの課題を思い出し、なんとか仕上げることができた。きっと先生が応援してくださったのだろう。面接でも褒めていただき、結果として内定をいただいた。
杉山先生に直接ご報告できないのが本当に残念であるが、たくさんの教えを胸に今後も精進していきたい。
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