杉山先生からのメール

 杉山先生からいただいたメールの一部をご紹介しながら思い出をつづり、哀悼の意を表させていただきます。

 杉山先生に初めてお目にかかったのは、1997年、ニューヨークでした。その時は、残念ながら交流の機会は少なかったのですが、明るくてお元気で、素敵な先生だなあという印象を持ったのを覚えています。その夏以降、杉山先生は日本に戻られているというお話は人づてにうかがったのですが、私はアメリカに残りましたので、特別な接点もないまま15年近くの歳月が流れました。それが2011年、私は翌年のAIU日本語サマープログラム講師としての採用が決まり、その直後に杉山先生からメールをいただきました。

福島亜子様、

1997年夏のコロンビアの初級教授法クラスでご一緒でした杉山です。(お忘れかもしれませんが、私は亜子さんのこと、よく覚えています!)現在、国際教養大学(AIU)の日本語プログラムの教員をしております。来年の夏、亜子さんがサマープログラムに教えに来てくださるとのこと、とてもうれしいです。…ご縁ってつながっているものだなあ、としみじみ感じております。

お会いできるのを楽しみにしております!!

杉山朗子

 訪れたことのない環境で仕事を始めるにあたって、なにかと心配もあったのですが「縁がつながっている」という杉山先生の言葉が大変うれしく、不安な気持ちが再会への楽しみにかわりました。それから五年間のサマープログラム中、杉山先生には本当によくしていただきました。週末に、お食事や温泉、ドライブに誘っていただき、思い出は明るくにぎやかで楽しいものばかりです。ドライブの時には車内で、しりとりをしたり、大阪と東京のイントネーションを比べてまねして、みんなで大笑いして…きっとあれは、車に酔いがちな私のためのお心遣いでもあったのではと今になって思います。キャンパス内で偶然お会いした時は、遠くからでも大きく手を振って話しかけてくださり、クラスの進行などを気にかけて励ましてくださいました。本当にいつもいつも杉山先生には、元気を分けていただいていた5年間の夏でした。

 2016年のサマープログラムを最後に、私は個人的な事情で次の夏のお仕事をおことわりすることになったのですが、2017年のお正月に杉山先生からメールをいただきました。

亜子さん、

本当に、今度の夏にお目にかかれないのは心から残念です。でも、亜子さんがお里帰りのついでに、あるいは、私たちがアメリカに(なかなかチャンスがないのですが)行ったときに、再会できますように、ずっとKeep in touch!!

杉山朗子

 そして、これがさいごのお便りとなりました。1997年にニューヨークで始まり、2011年に秋田でつながり、さらに深まった杉山先生とのご縁。毎年夏に会うことがなくなっても、これからもずっとつながっていく、つないでいきたいと思っていました。そのご縁がこのようなかたちに向かうとは、突然のことに言葉を失い、いまだに信じられない気持ちでいっぱいです。鮮やかに明るくにぎやかだった夏を思い起こすたび、胸が痛みます。

 杉山先生とのお別れや偲ぶ会、遠くからで、駆けつけることもできず、残念でなりませんでしたが、たくさんの方々が訪れてくださったとのこと、そしてこの追悼HPの開設。杉山先生のご功績とお人柄、そして一つ一つの出会いをていねいに大事に紡いでこられたからこそと思います。その中の一つとして私との縁もずっと大切に考えていてくださったこと、大変ありがたく光栄に感じております。

杉山先生、本当にありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします。

福島 亜子

Akiko Sugiyama Memorial

このHPは2018年7月25日にご逝去された故杉山朗子先生に捧げます。

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