故 杉山朗子 先生に捧ぐ

佐野ひろみ(国際教養大学専門職大学院日本語教育実践領域)

杉山先生、先生が逝ってしまわれてから早や3か月が過ぎようとしています。

先生の姿が見えない大学に出てくるのが辛くて仕方がない日々が続いています。

心にぽっかりと穴が開いてしまったような心持ちが消えません。

思い返せば、2008年の専門職大学院開設時から随分とお力添えを頂きました。日本で初めての試みとなる専門職大学院とは?専門職大学院における日本語教師養成とは?など、など、日本語教育実践領域(JLT)の基盤作りに鮎澤先生と共に二人でも力を合わせて取り組みました。分からないことばかりで葛藤もあり、随分と議論も重ねましたね。いつも私の方から助言を求めたり、一緒に検討してもらったりとお世話になることばかりでした。

最初にJLTの枠組みを考えた時、まずAction Researchを取り入れることやSchonとWallaceの高度専門職業人や言語教師養成のフレームワークを採用しようという私からの提案に杉山先生がすぐに賛同してくださり、本当に心強かったです。一緒に本を読み合わせて研究した日々を思い出します。JLTのフレームワークについては、一緒に名古屋で発表してみたり、その後もBurnsのAction Researchの手順を採用したり、各種のペーパーを読み進めたり、二人で一緒に勉強を続けました。様々なことを思い返えすと杉山先生なしには、私は何もできなかったのだと強く感じます。杉山先生は、その後もずっと研究を続けてくださり、JLTの成果をAction Researchの手法で研究して堀内先生、左治木先生と一緒にシンガポールでの発表にまとめてくださいました。

3段階に亘る日本語教育実習を設定なさったのは鮎澤孝子先生でしたが、各学期の実習内容に関しては、鮎澤先生共々、杉山先生がご意見を出してくださって今の形と実習形態が出来上がりました。また、JLTがこの実習スケジュールの関係で一年中活動し続ける大変なプログラムとなってしまったにも関わらず、本当に一年中骨身を惜しまず院生の指導や活動に当たってくださいました。心から御礼を申し上げたい気持ちで一杯です。もし、杉山先生がいらっしゃらなかったら、本学専門職大学院日本語教育実践領域の今日は無かったのだとつくづく思います。

本学学部留学生のための日本語プログラム代表として、多くの仕事を抱えながら大学院生の指導を続けるのはどれほどのご苦労だったことでしょう。杉山先生にこれほどのご苦労を掛けずに、もっと楽な道があったのではないかと悔やまれます。

それでも最後に大阪の病院でお会いした時、秋田での仕事は充実していて、とても楽しかったと仰ってくださいました。その上、最後には秋田に帰りたいと繰り返していらしたとご主人様から伺い、それだけが私の心の支えとなりました。

本当に長い間ありがとうございました。心から御礼を申し上げます。

杉山先生にお別れを言うことは不可能だと思いますが、今は、衷心より御礼申し上げ、杉山先生の御冥福をお祈りいたします。

Akiko Sugiyama Memorial

このHPは2018年7月25日にご逝去された故杉山朗子先生に捧げます。

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