杉山朗子先生との思い出

武田 誠 (早稲田大学日本語教育研究センター 講師)


 この度、杉山朗子先生ご逝去の報に接し、非常に大きな驚きを覚えるとともに、未だに信じられない思いでおります。

 杉山先生に初めてお会いしたのは14年ほど前のことでした。当時私が勤務していたシンガポールの大学の語学センターが主催した国際学会で、杉山先生が阿部祐子先生との共同発表をなさり、国際学会の実行委員をしていた私にお声かけくださったのがお知り合いになるきっかけでした。

その後、2008年に私が日本に本帰国し、AIUで非常勤講師をさせていただくことになった際に再びお目にかかることとなり、それ以降、大変お世話になっておりました。

 AIUに着任したばかりの頃、日本の大学に勤務するのも初めてであった私は戸惑うことが多々ありました。そのような中、当時、日本語プログラムの代表であった杉山先生は懇切丁寧に様々なことをご教示くださいました。最初の学期、自分の担当科目に科目登録が済んでいない学生がおり、その対応についてご相談したところ、私の代わりに事務所にご連絡くださったこともありました。

 AIU在職時、杉山先生には業務のことだけではなく、生活の面でもいろいろとお世話になりました。私を含め、サマープログラム担当教員を自家用車で、時々、御所野のイオンモールへ生活必需品の買い出しに連れて行ってくださいました。また、気さくな性格の杉山先生は私と同僚の先生方を遊びに誘ってくださることもあり、秋田市内へ映画を見に行ったり、角館祭りのやま行事に行ったことを今でもはっきりと覚えています。

 海外から戻ったばかりの私が秋田での生活になじむことができたのは、今思い返すと杉山先生の温かいお人柄があったからではないかと思います。

始終温和で物腰柔らかだった杉山先生でしたが、吉田戦車の漫画がお好きだったという意外な一面もお持ちでした。一部の教員間で吉田戦車の作品に出てくる弁当の話で盛り上がったことを懐かしく思い出します。

 杉山先生にはAIU退職後も転職時の推薦状を書いていただくなど、個人的に大変お世話になっておりました。

 そんな杉山先生が、帰らぬ人となってしまったことは今だに全く信じられません。例年のように年賀状をお送りすれば、何事もなかったかのようにお返事をくださる気がします。

杉山先生にもうお会いすることができないのであれば、秋田まで杉山先生を訪ねて、直接これまでお世話になったお礼を申し上げる機会を今日まで逸してしまっていることが悔やまれてなりません。

杉山先生、どうか安らかにお眠りください。

Akiko Sugiyama Memorial

このHPは2018年7月25日にご逝去された故杉山朗子先生に捧げます。

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